介護アプリとは?快適な介護生活をサポートする便利なツール
介護現場でもICT化が促進され、業務負担の軽減や効率化のために、介護アプリの導入を検討する人もいるのではないでしょうか。介護アプリは、介護スタッフや利用者にとって、快適な介護生活をサポートするツールです。今回は介護アプリのメリットや選び方などを詳しく解説します。ぜひ、介護アプリ選びの参考にしてください。
介護アプリの役割とメリット
介護アプリは介護記録の入力や管理の負担を減らしたり、情報共有をしやすくしたりするなど、多くの機能があります。ここでは介護アプリの役割やメリットを3点紹介します。
介護記録に関する業務の負担軽減
多くの介護アプリにあるのが、介護記録の入力や管理ができる機能です。音声入力やAIの自動入力などにより、文章の作成を効率化できます。またテンプレートが用意されているものもあり、新人やタブレットなどの入力に不慣れな人でもスムーズに記録できるよう、工夫されています。
また介護アプリで記録を電子化することにより、保管場所を削減できるのもメリットです。アプリの検索機能を活用すれば、目的の書類も見つけやすくなります。資料管理が楽になると、モニタリングで多くの資料を活用でき、介護サービスの質の向上にもつながるでしょう。
スタッフ・家族とのコミュニケーションの円滑化
介護アプリはスタッフがスマホやタブレットをもてば、記録や報告の共有ができるため、コミュニケーションが取りやすくなります。連携が取りやすくなると、業務がスムーズに進むでしょう。
また、家族と情報共有できるアプリもあります。電話は食い違いも多く、トラブルに発展しやすいですが、アプリを通じ文字情報で伝えることで、内容をじっくり確認できます。電話対応の負担を減らすことも可能です。また指定した介護記録を家族に共有することで、利用者の日々の様子を知れるため、家族との信頼関係の構築にもつながります。
シフト管理しやすい
シフトを管理する機能は、訪問予定やスタッフの稼働状況などを登録・表示できるものです。介護現場は利用者にサービスを提供し続けるために、スタッフのシフトを早番や日勤、夜勤など複雑に組む必要があります。
シフトに穴が空いてしまうと、利用者や当日勤務するスタッフにも大きな影響を及ぼします。そのためアプリでシフトを一括管理でき、簡単にチェックできるのは、業務をスムーズに進めるためにも便利でしょう。また予定時間になってもサービスが開始されない場合に、アラートで知らせる機能がついているものもあります。
介護アプリの需要と供給
厚生労働省は介護現場におけるICT化を積極的に進めており、介護アプリの導入は今後も進んでいくでしょう。そのため介護アプリの需要は高まり、供給されるアプリの種類も豊富になると予想されます。
介護現場でのICTの活用が進められている
介護現場でICTの導入が進められている背景にあるのが、業務の効率化とLIFEと呼ばれる情報システムの運用が開始したことです。
LIFEは「科学的介護情報システム」の略称で、根拠にもとづいて実践する、科学的介護をスタートさせるために運用されました。LIFEにデータを提出し、フィードバックを得ることで、PDCAサイクルを促進し、質の高いサービスの提供につなげています。
介護アプリの需要・供給は高まるが、導入へのハードルもある
介護アプリなどのICT技術を導入する事業所は年々増加しており、2019年度は195事業所であったのに対し、2021年度には5,371事業所まで広がっています。今後も介護現場でのICTの導入が進められるため、介護アプリの需要や供給は増加するでしょう。
しかし2021年度の厚生労働省の調査でICT導入率は、最も多い施設系のサービスでも40.9%にとどまっています。理由として、スマホやタブレットの操作に抵抗感のある50~60代のスタッフも多いことが挙げられます。介護アプリを導入するうえで、スタッフの苦手意識や抵抗感の克服が課題になるでしょう。
介護アプリの選び方と注意点
介護アプリにはさまざまな種類があり、どれを選べばいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。ここではアプリの選び方や注意点を解説します。
サービス形態に対応しているかチェック
介護アプリを選ぶときに、まずチェックしたいのが事業所のサービス形態に対応しているかどうかです。アプリのなかには、訪問介護サービスに特化したものや、介護記録の機能を重視したものがあります。アプリの機能の特徴をチェックし、サービスの形態や業務への活用方法などを考えて選ぶと、候補が自然にしぼられるでしょう。
CSV出力機能に注目して事務作業の負担軽減
介護アプリに入力したデータを、Excelやスプレッドシートに活用できると、経理や会計の事務作業が効率化できます。介護アプリにCSV出力機能があるかをチェックし、業務に使うデータに変換できるとよいでしょう。
シェア率の高さに惑わされないように注意
シェア率の高い介護アプリは安心感がありますが、必ずしも事業所に合ったアプリとは限らないため、注意が必要です。シェア率が高いと、アプリの改善を要求しても対応が遅い可能性があります。多くのユーザーがいるため、ひとつの機能を追加したり修正したりすると、大きな影響が出るためです。
しかし法改正への対応の早さなど、メリットも多くあります。シェア率の高さは選ぶ基準のひとつにし、事業所のサービスや業務に合う機能を調べることが大切です。
まとめ
介護アプリとは介護記録の入力や管理、情報共有など、日々の業務の負担を減らす機能をもつアプリです。多忙な介護現場の負担を軽減することで、ケアの質の向上を目指しています。そのためスタッフと利用者の双方にとって、メリットのあるツールといえるでしょう。
介護アプリはICT導入の促進によって、需要と供給が高まっています。多くのアプリのなかで、現場に合うものを選ぶには、サービス形態や事務作業などで必要な機能をチェックしましょう。介護アプリを上手に活用して、業務の負担軽減とケアの質の改善・向上につなげてください。