老老介護と認認介護の現状と解決策を紹介!
高齢化が進む日本では、65歳以上の高齢者が高齢者を介護する老老介護や、双方が認知症の状態で介護を行う認認介護が深刻な問題となっています。身体的・精神的な負担が大きく、適切な支援がないと共倒れのリスクもあるのです。本記事では、老老介護や認認介護の現状、問題点、そして解決策について詳しく解説します。
老老介護とは?
老老介護とは、高齢者同士の介護を指し、主に65歳以上の高齢者がほかの65歳以上の高齢者を介護することです。
日本の高齢化が進むなかで、老老介護はますます増加しており、身体的負担だけでなく、精神的な影響も深刻です。とくに、日常生活のなかで介護を必要とする場面が多いと、介護者の体力が限界に達し、共倒れのリスクが高まります。
老老介護の増加背景
厚生労働省の2022年の調査によると、65歳以上の高齢者同士が介護している割合は全体の63.5%にのぼり、そのうち75歳以上の高齢者同士の介護、いわゆる超老老介護の割合は33.1%に達しています。
老老介護が増加しているのは、寿命が延びる一方で、核家族化が進み、親族や子供が同居せず、高齢者同士での介護が必要となるケースが増加しているためです。
認認介護との違い
老老介護と類似するものとして認認介護があります。
認認介護とは、介護者と被介護者の両方が認知症を患っている場合を指し、さらに問題が複雑化します。
認認介護では、介護を行う側も認知機能が低下しているため、介護の質が低下したり、介護者自身が自分の介護能力に気づかないケースが多くなり、適切なサポートが欠かせません。認認介護に対しては、より早期の介護支援が必要とされます。
老老介護の問題点
老老介護は、介護者の体力面と精神面の負担が大きいのが最大の問題点です。
介護者高齢であるため、年齢にともなって体力が低下し、日々の介護作業が身体的に難しくなるだけでなく、介護が長期間にわたると精神的な負担も増えていきます。日々の負担が重なり、介護者の心身の健康に深刻な影響を与えるのです。
体力面の負担
老老介護においては、入浴や排泄、移動の介助など、日常的な介護作業が介護者にとって非常に大きな身体的負担をもたらします。
とくに高齢者は筋力や柔軟性が低下しているため、介助作業が難しくなり、介護中に介護者自身が怪我をするリスクも高まります。また、介護に要する時間が長くなると、さらに体力を消耗し、慢性的な疲労に悩まされます。老老介護は肉体的に過酷な負担をともなうのです。
精神面の負担
精神的な負担も非常に大きく、介護者は外出や交流の機会が減り、孤独感や孤立感を抱えがちです。
孤立が続くと介護ストレスが溜まり、介護者自身が介護うつに陥るリスクが高まります。さらに、介護者が自分の時間やリフレッシュの時間を持てなくなると、心身の健康が悪化して認知機能がさがり認認介護になる可能性もあります。
介護者の認知機能を維持するために、精神面でのケアやサポートが必要不可欠です。
老老介護の解決策
老老介護を予防・改善するためには、早めに適切な支援を受けるとよいでしょう。
多くの場合、介護者は介護の重圧をひとりで抱え込んでしまうため、周囲のサポートや専門的な介護サービスを積極的に利用する必要があります。ここでは、具体的な解決策として3つの方法を紹介します。
地域包括支援センターの活用
地域包括支援センターは、各地域の高齢者が利用できる医療・介護・福祉に関する情報提供や相談を受け付けている窓口です。
65歳以上の高齢者であれば、誰でも無料で相談でき、適切な支援策やサービスの紹介を受けられます。たとえば、介護を続けるうえでどのようなサービスが利用可能なのか、助成金や支援金の制度などについて、地域包括支援センターで詳細なアドバイスをもらえます。
介護が難しくなる前に 支援窓口に相談すれば、問題が深刻化するのを防ぎやすくなります。
介護サービスの利用
訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの介護サービスを利用すると、介護者の身体的・精神的負担を軽減できます。
訪問介護では、ホームヘルパーが自宅に来てくれて、日常生活のサポートや介護をしてくれるため、介護者が外出したり、自分の時間をもったりできます。
また、デイサービスでは、介護を受ける側が施設で長時間過ごし、介護者もリフレッシュする時間を確保できます。介護サービスにより、介護の負担が軽減され、介護者が心身ともに回復する機会が増えるのです。
介護施設への入居を検討する
介護がより困難になった場合、老人ホームや介護施設への入居を検討するのも有効な選択肢です。
老人ホームや介護施設では、専門の介護スタッフが24時間体制で入居者のケアを行うため、介護者は負担から解放されます。特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、介護保険の適用を受けられる施設も多く、負担を最小限に抑えてプロのケアを受けられる点が魅力です。
また、施設に入居すると、介護者が自身の生活を取り戻し、再び充実した日々を送れるようになります。介護施設の利用は、老老介護の問題が深刻になる前に検討しておくとよいでしょう。
まとめ
老老介護や認認介護は、日本の高齢化が進むなかで、今後ますます増加すると予想される深刻な問題です。とくに、高齢者同士で介護を行うのは、身体的な負担に加えて精神的な負荷も非常に大きく、無理をすれば共倒れのリスクも避けられません。介護が必要になったら、早めに地域のサポートや介護サービスを活用しましょう。また、家族や親族との密な連携も不可欠です。介護者がひとりで抱え込まず、地域包括支援センターや介護施設などの外部の助けを借りれば心身の負担を軽減でき、介護に対する不安を少しでも和らげられます。社会全体で高齢者のケアに取り組む姿勢が求められます。